この頃、修道会総長と社会福祉法人の理事長はシスター川久保林子の時代で、既にジョン・ジョセフ・ムーニー神父様が小金井教会で初代主任司祭として宣教活動を繰り広げておられ、ムーニー師は再三シスター川久保たちを呼びつけて、「お年寄りのために働かないのか」と詰問されたそうです。高齢福祉と言う新しい分野の仕事で、種々の困難が立ちはだかっていましたが、援助を必要としている高齢者に手を差し伸べることが「時のしるし」と見て、特別養護老人ホームを開設する決断がなされ、1986年(昭和61年)念願の特別養護老人ホーム「桜町聖ヨハネホーム」の建物が出来上がりました。小金井市で初めての特養です。4月1日屋上の緑あざやかな人工芝の上で、ムーニー神父様による開設祝別式のミサが行われ、その中で、神父様は「施設の存在価値は建物ではなく、愛を土台に置いた生き方と実践です。」と職員一同に目指すべき基本姿勢を諭され新事業開始の火ぶたが切られました。2か月後には定員の100名に達し、その年の10月には小金井市の委嘱によりホーム3階の「集会娯楽室」を利用して、デイホームを開設する運びとなりました。最初は15名規模のものでしたが、4年後には新しい建物で、地域の高齢者在宅福祉を展開する原点となりました。ショートステイサービスは2年後より事業を開始しています。利用者の介護は、はじめは手探りの状態でしたが、ミーティングを重ねながら「自立への援助」「人格の尊厳を支えること」を基本として、行きつ戻りつしながら介護研究を重ね、高齢者一人ひとりの生と死の尊厳を尊重し、生活の質を高め、真の兄弟姉妹としての関わりの中で共に生きることを実践するように努めています。
ボランティアの募集はカトリック小金井教会の皆さんへの呼びかけで始まり、ムーニー師からは「『してあげる』のではなく、『させていただく』という心が大切です。見返りを望んではなりません」と言うお話がありました。最初は、お掃除、洗濯物たたみ、食器洗い、理容の奉仕などでしたが、次第にいろいろな資格のある方々も参加してくださり、話し合いを重ねながら、喫茶、行事、サークル活動など、ボランティア活動も充実していきました。学校や色々な団体からも奉仕を申し出てくださることもあり、年間延べ4,000人ものボランティアの方々のご支援は大きな力となっています。 ボランティアや非常勤講師の方々のご協力により、サークル活動も年ごとに増え、民謡、わらべ唄、刺し子、ちぎり絵サークル、音楽鑑賞、レクリエイション、絵画、生け花、カラオケサークル、聖書の集い、手芸、書道サークルなど、思い思いのサークルに利用者の方々は明るく楽しく参加しておられます。